Windows Azureの中身を調べていったら、これはビル・ゲイツの後継者としてマイクロソフトのCSAになった、レイ・オジーの遺伝子が組み込まれたOSなんじゃないか、と思うようになりました。
なぜか。
Windows Azureが発表されて、その概要を見たとき、僕には3つの疑問が浮かんでいました。
1)Windows Azureって、従来のクラスタと比べて内部の仕組みはどう違うのか?
2)SQL Server走らせてるっていうけど、分散環境上のRDBって難しいのにどうやってるの?
3)CLRはAzure上に実装してるの?
要するに、僕は疑ってたのです。「Windows Azureっていうけど、いままでのClusterのブランド変えただけじゃないの?」と。
ところが、「ビジネスコンピューティングに革新をもたらすWindows Azure クラウドOS」を読むと、僕の考えていたことは誤解だったことが分かりました。そして、俄然Windows Azureは面白そうな気がしてきました。
疑問1)の「クラスタと違うの?」は、まったく違いそうです。内部でPtoPを用いて自律分散を実現しているっぽい。たしかに本格的な分散OSっぽいです。
疑問2)の「SQL Serverの実装はどうよ?」も、リレーショナルを捨てて分散環境に適したデータベース形式に根本から変えています。これを商業製品で出してきたのは勇気があるというか、なんというか。
追記:どうやら元記事の記述が違っていたようです。現時点の情報ではSQL ServicesはやはりRDBとして実装されているようです。
疑問3)は、まだはっきりと答えが分からないのですが、今度MSの人に会ったら聞いてみようと思っています。この分散環境にCLRをうまく載せていれば、スケーラブルなCLR実行環境なわけで、それはそれですごい。
で、このどれを見ても、僕が見てきたマイクロソフトのテクノロジーとは非連続的な気がして仕方がないのです。あるいは不勉強だっただけかもしれませんけれど。
そして、レイ・オジー。
彼はアイリスでロータスノーツを設計・開発し、その後独立してGrooveを作り、いまマイクロソフトにいます。そして上記のWindows Azureの技術的な基盤は、彼の歴史と一致します。
彼の出世作、ノーツは、大規模分散のドキュメントデータベースを基盤にしていました。大規模分散を実現するために、ノーツは高度なレプリケーション機能を備えていました。レプリケーションはPtoPの基盤的技術です。そして、ドキュメントデータベースは非定型データベースによって実現されていました。
その後のGrooveでは、そのレプリケーションと非定型データベースにさらに磨きをかけて、サーバ不要の高度なPtoPによる分散アプリケーションを実現しています。
そしてマイクロソフトでビル・ゲイツの後継と指名されて数年後、マイクロソフトテクノロジーとは非連続に感じる製品が彼によって発表された。
事実がどうなのかはまったく確認できないのですが、Windows Azureには彼の遺伝子を感じずにいられません。どうなんだろ。インタビューの機会とかあれば、ぜひ聞いてみたい。
さて。
冷静にみれば、Windows Azureは製品として未成熟な技術の集合体なわけで、実用までにはまだ多くのハードルを越えなければならないはずです。素人にはお勧めできない。というか、それなりに経験を積んできたGoogleやAmazonからまだビハインドが多くあるように想像します。
また、GoogleやAmazonのクラウドは、ある程度用途を限定できる/しているのに対して、ある種どこまでいっても汎用OS/プラットフォームとして「どんなアプリでもうごかせなきゃいけない」宿命を背負うマイクロソフトOSは、超えなければいけない技術的ハードルも高い。
しかし、冷静さを忘れてしまえば、こうした背後のストーリーと新しい技術的なチャレンジが見えるWindows Azure、個人的にはなかなか面白くて注目の製品です。もっと勉強してみよう。

Junichi Niino
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